BTS「Butter」ミュージックビデオ公開!考察まとめ・解説!

armyBTS
Butter MVより

こんにちは!さこまよ(@SacchanOT7)です。
ついに5月21日、BTS新曲「Butter」が配信となりましたね!

これまで、BTSは以下のカムバックスケジュールに合わせてTeaser Poster、Concept Clip、Teaser Photo、Official MV Teaserをリリースしてきました。

butter promotion schedule

BTS_twtより

その都度手がかりが更新されるにつれて、曲について様々な憶測が飛び交っていたのですが、並行して公開された「Weverse Magazine」や「Rolling Stone」などの記事もヒントとにして、Butterに込められた意味を考察してきました。

これまでの記事はこちら

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そして本日公開されたButterのミュージックビデオと本日開催されたグローバル記者会見での発言を踏まえ、私なりのButter考察まとめ、解説をしていきたいと思います!

Butter音源・ミュージックビデオ配信!!

アップビートの曲調で、明るく楽しく、力強い印象をいだきました。
そして、最初に得た所感は、「BTSに励まされているみたいだな」ということです。

まずはミュージックビデオと歌詞を見ていきたいと思います。

コロナ禍での苦境と、音楽の価値・ファンの大切さを再確認

ミュージックビデオ解説

ジョングク

Butter MV

最初は、ベースの単調な音と白黒の画面から始まります。
「正体を隠した悪党みたいに 急なトラブルのように弾けて」
という歌詞。
カムバック時期に配信されたローリングストーンズ紙のインタビューでは、メンバーたちが、コロナ禍で計画が全てダメになったときの心境を語っていましたが、それぞれが苦しい思いをしたと言います。
ここは、そんな状況を表しているのではないかと思いました。

bts

そして少し曲が転調して、暗号のようなメッセージボードを持つ7人。
少し前のRUN BTSというバラエティーで、ポケベルの暗号の問題が出ていましたが、その手法を使うと読めるメッセージもありました。
それぞれが、自分にとっての意味のある日付(グラミーノミネートが決まった日、RED BULLETコンサートの日、ソウルに上京した日、など)であったり、ジンが持っているのは「人生の大きな変化に対して心の準備をしましょう。信じて」という意味がある、というツイートも見かけました(実際にはあまり意味のない数字だった、と後で語ったメンバーもいました)。

ARMYへのメッセージや、自分たちが歩んできた道のりを再度立ち止まって考えている様、とも言えます。
ここでの歌詞は「僕が鏡を見るとき」ですが、「鏡」というのは自分を見つめなおす、成長の道具の象徴です。

そして、「僕はスーパースターのように輝くから」と歌詞が続きます。

その後、白黒の画面からカラーの画面になり、サビへと続きます。

カムバック当日の記者会見を見て感じたのですが、ここでは、コロナ禍において、自らの道やアイデンティティを見失いそうになったとき、「自分たちの存在や音楽は誰かに元気を与えているんだ」、「僕たちはファンのために音楽をやっているんだ」と自分たちの存在意義に改めて気づいた瞬間を表しているのではないでしょうか。

ジン

ジミン

そして、スーツを着て屋内で撮影をしている風景や、記者会見場にいるジミンはコロナ禍以後、屋内で撮影を行い、オンラインでライブ配信を行ったりと、一生懸命にスケジュールをこなすBTSの姿と重なります。

bts

カーテンが開き、体育館のようなところでジャージを着て踊るメンバー。
これは、カムバックやライブに向けて練習するBTSの姿でしょう。

ユンギ

そんな体育館の背景が開き、背後には飛行機が見えます。
コロナ前、BTSは飛行機に乗って世界中を飛び回り、コンサートを行ってきました。
ここでの歌詞は「タイミングを見計らって、パーティへ登場」とあり、ここでいうタイミングとは、「コロナが開けた後」を言うのではないかと思いました。

テテ

その後、エレベーター内でフリースタイルのダンスを披露するBTS。

ここでは個々の魅力を表したと言います。
そして最後には全員が集合してエレベーターに乗っています。

エレベーター

なお、エレベーターで上昇をする、というのは、「気力に溢れ、仕事や学業に前向きに挑戦していて、それが評価される」という夢占いがあります。
また、エレベーターに仲間と乗っている、というのは「その人と協力して何かを行うことを表していて、今後その人と運命を共にすることになる」という意味がある、とのことです。

また、後日、撮影のビハインドでRMは以下のように語っていました。

Dopeの時もエレベーターで撮りましたが、その時は地下から上がるエレベーターだとすると、今回はARMYの心へと行くエレベーターではないでしょうか

Butterに込められた意味

Butterがリリースされることが発表された日のBighit musicからの告知文では、「ARMYの皆さんの日常にバターのように溶け込むBTSの魅力を存分に堪能できる曲です。一緒に楽しみながら、時にはなめらかで、時にはカリスマ感溢れるBTSの魅力にはまってみませんか?」
とありました。

また、「バター」をWikipediaで調べると、「生活の象徴」「神聖な、魔術的な食料」「病気を吸い取る力がある」という意味がありました。
ここから、カリスマ性溢れるヒーローのようなBTSが今のコロナ禍に希望を与えてくれるような曲なのかな、と感じていました。

僕たちの後ろにはARMYがいる

その後に続くRMのラップでは、「僕たちの後ろにはARMYがいる、そして言うんだ、Let’s go!」という歌詞とともに、ARMYの人文字。

army

日々、ARMYへの感謝を口にするBTSですが、歌詞に「ARMY」が出てくるのはとても珍しく、驚きました。
後述しますが、コロナ禍で改めて気づいた「ARMY」の存在の大きさと、ファンの存在によって自分たちの音楽の価値を再定義したことによって苦境を乗り越えたBTS
それを痛感したからこそ、敢えて歌詞に入れ込み、改めてファンへの感謝を伝えたのだと思います。

「月の高さまで昇って僕と一緒に楽しもう」
「僕たちの熱い魅力を知っているだろう」
「ありきたりな言葉じゃなく見せてあげる」
「僕たちは止まらない」

こうした歌詞には、大切さを改めて実感したARMYとともに、一緒に突き進んでいこう、という意思が見えますね。
それも、一方的に「BTSがARMYを導いてあげる」のではなく、ARMYの存在があったからこそ苦境を乗り越えられたBTSと、BTSの存在があったからコロナ禍でも頑張れた私たちARMY、という双方向の関係を表しているなと思いました。

記者会見でメンバーが語ったこと

カムバック当日に行われた記者会見では、以下のようにメンバーは語っています。

SUGA:1年間、僕の場合は今まで活動してきた僕たちの音楽を聴きながら、癒やしと応援をもう一度もらいました。ファンや世間の方々が、このような感情で僕たちの歌を聴いて慰やされ、応援してくれているんだなと思い、音楽を見つめ見る価値観、音楽制作をする時の考えが本当にたくさん変わりました。過去、様々な音楽を聴いて育ち、音楽を始めましたが、僕がまた誰かにそのような影響力を与えることができると思い、責任感を持って良い音楽をたくさん作らなければと思いました。この1年間、辛い記憶よりは成長した記憶があってうれしいです。

J-HOPE:新型コロナウイルスに直面して、僕たちの計画も失敗に終わったし、とても不安で混乱しました。計画になかったデジタルシングルを出し、アルバム制作を行い、とても喜ばしいこともたくさんあって、新しい感情も感じる時期でした。質問の通り、ジェットコースターのような1年でした。その中心で最も大きな役割を果たしたのが音楽でした。最も大変で不安な時にも、僕たちの突破口は音楽でした。良いことをもたらしてくれたのも音楽でした。昨年の経験で、音楽がとてつもなく大きな力を持っているということをすごく感じました。これからもそのような音楽をたくさん作って、良いエネルギーをあげたいと思いました。慣れていたことが僕たちにとって本当に大切であったということを感じました。

スーパースターとして、自分たちBTSは、聴いてくれるファンのために音楽を作るんだ、という原点を思い出しました。
コロナ禍において、自らの進むべき道を再度定義しなおし、自分たちの音楽を聴いてくれるファン=ARMYのために音楽を続けていこう、そんな思いが込められているのがButterです。
また、そんな自分たちの進むべき道を思い出させてくれたARMY、これまで当たり前だと思っていた声援が、実はとても大切なものだった、という気づきが込められています。

大量消費社会の真っ只中で、アイドルとして音楽を伝え続ける、という決意

ミュージックビデオのラストシーン

ミュージックビデオの最後のサビでは、明るく照らされたステージの上で踊るBTSの姿が映し出されます。

bts

この舞台の上には、同じ大きさの丸がたくさん並んでいますね。
私はこれを見たときに、「反復技法」というポップアートの、「大量生産・大量消費」を表す技法を思い出しました。
もしくは、「シルクスクリーン技法」という、点々がたくさんあり、版画のように大量生産ができる図面にも思えました。

このシーンの直後、ホソクの背景に、「反復技法」で描かれたバターの絵が飾られています。

ホソク

これは、大量生産・大量消費、といった大衆社会を象徴するアイドルとしてのBTSが、そんな自らの立ち位置を大いに利用して、自分たちの魅力を存分に発揮している様を表しているのかな、と思いました。

今回のミュージックビデオが出る前にティーザーで出ていたヒントから、今回のButterのテーマは「ポップアート」である、と見ていましたが、今回の「Butter」に込められたもう一つのテーマを以下で解説します。

ポップアートの哲学を引用ー誰にでも愛される音楽をー

新曲「Butter」のリリース日が公開された際は1時間のカウンターとともに、キッチンの音=「日常」が背景に聞こえるYoutubeライブ動画が配信されました。

BTS (방탄소년단) 'Butter' Logo Trailer
Connect with BTS:

Bighit musicからの告知文では、「ARMYの皆さんの日常にバターのように溶け込むBTSの魅力を存分に堪能できる曲です。一緒に楽しみながら、時にはなめらかで、時にはカリスマ感溢れるBTSの魅力にはまってみませんか?」
とありました。

その後、Teaser Posterで公開されたこちらのコラージュ。

butter_teaserposter

bts_twtより teaser poster

コラージュはポップアートの技法ですね。
さらに、Butterのイラストを見ると、「シルクスクリーン技法」(絵のポツポツの部分に注目。版画のように、絵を大量生産する技法)というポップアートの技法で描かれていることに気が付きました。

butter

bts_twtより切り抜き

そしてその後公開されたコンセプトクリップは、現代アートの技法「インスタレーション」を用い、ライティング効果を生かした動画でした。

この少し前に公開されたWeverse Magazineでは、今回のコンセプトのヒントになるポップアートとアンディ・ウォーホルの紹介がなされていましたね。

生活用品の缶や包装紙、コーラの瓶、紙幣など日常的な素材はウォーホルの手にかかり、社会を見つめる芸術に変化した。作品の中に見られる対象は、単純に現実の製品や人、それ自体を記録し提示するのではなく、誰もが知っている大衆的な対象を選択し見せることによって、その時代と社会の総体的な風景を語ろうとしていた

ポップアートとは、「日常的な素材を用い、大量生産・大衆社会的な風景を芸術として表現する」運動でした。
ウォーホルを始めとしたポップアート画家は、従来の抽象主義的芸術と、私たちの日常生活の乖離に疑問を抱き、身近な題材を用い、またアーティストの内面と作品を敢えて切り離す大量生産の手法を用いることで、「誰にも開かれ、誰にも愛されるアート」を目指しました。

そういう意味で、高尚な「芸術」と日常的な私たちの「生活」の間の「境界」を取り払おうとした運動、であると言えます。

今回の「Butter」が日常の象徴であることを考えると、大量消費社会・大衆社会の象徴ともいえるアイドル、BTSは、バターという日常の題材を通して、誰にでも愛される作品を私たちに届けようとしているのだな、と思いました。

BTSはジャンルにとらわれない、「BTSというジャンル」を確立

誰にも愛される、「BTSというジャンル」の音楽を追求するという決意

ポップアートの哲学が、「高尚な芸術(上)」と「日常の生活(下)」の境界を取り払い、芸術を一部の高尚な人たちのみでなく、大衆一般に理解できる身近なものへ変換するということだったことを踏まえ、今回の一連のティーザーや、最近公開された「Rolling Stones」紙の記事を顧みると、BTSが言いたいことも、様々な境界や従来の制約にとらわれない、自分たちの音楽を作っていく、という意思表明のように思えました。

ローリングストーンズ紙

ローリングストーンズ紙(RM編)筆者訳

アイドルであるか、ラッパーであるか、アーティストであるのか、様々な批評や非難に遭ってきたBTS。
「アイドルがラップをするなんて!」と嘲笑にあったこともありました。
常に自分たちのアイデンティティを模索し続けてきた、とRMは言います。
そんな中で、彼らが気が付いたのは、ジャンルは何であれ、自分たちの伝えたいことを伝えること、というのはまた別の次元にあり、それが一番大切で重視すべきものである、ということです。

ジェンダー、人種、様々な境界や制約を超えるBTS

また、「Butter」には、Queenの「Another One Bites the Dust」のビートがトリビュートされているのでは、との憶測があります(Queen公式がButterを応援するツイートあり)。

そんなQueenのボーカル、フレディ・マーキュリーの半生に焦点を当てた映画で、BTSメンバーも観たと公言する「ボヘミアン・ラプソディ」では、以下のようなフレーズがありました。

僕たちは境界を越え皆に語り掛ける
僕たちにジャンルはない
クイーンは定義できないんだ

まさに、ここに繋がってきますね。

さらに、「境界」を取り払う、「ジャンルレス」という観点でみれば、ティーザーフォトで公開されたBTSのフェミニンな衣装を着こなす様子や、ジミンの「レインボーカラー」のヘアスタイル、「バイセクシャルフラッグ」の色(ピンク、青、紫)をライティングに用いたコンセプトクリップ、などからも、ジェンダーという枠を取り払って、自分自身を表現する、というメッセージも込められているように思いました。

フレディ・マーキュリーがゲイ(バイ)セクシャルであったことから、繋がった気がしました。

RMのローリングストーンズ紙のインタビューでは、BTSがしばしば女性っぽい衣装を着ることや、従来の「男性的」な制約は古い物だ、と言っていました。

さらに、最近のWeverse Magazineでも、ファッションを「自分を表現する手法」として捉え、ジェンダーにとらわれないこととについて記事がありましたね。

こうしたことから、BTSは様々な制約や既存の概念の「境界」を取り払うことに挑戦しているのだなと、読み取ることができます。
そして、それは自分たちの音楽にも言えることで、ジャンルに囚われることなく、自分たちが一番大切にしたい、聴いてくれるファン=ARMYに、自分たちの音楽・メッセージを届け続ける、という意思表明でもあるのではないかと思います。

また、同時に、カムバック時期に公開されたローリングストーンズ紙では、人種やアイデンティティについてもRMがインタビューに答えています。

最近では、BTSがTwitter上でアジア人差別に対して反対の意を表明したことが記憶に新しく、その中では自分たちも欧米諸国で活躍するにあたり、差別を受けた経験についても述べられていました。
現在はアメリカをはじめ、ヨーロッパ諸国でも人気が高いBTSですが、知名度が上がれば上がるほど、こうした自分たちの人種やアイデンティティについても意識せざるを得ない状況があったことと思います。

なお、カムバック当日の生放送VLIVEにおいては、メンバーが、Butterや今回のコンセプトカラーが「黄色」であることについて「なんで黄色なのか?それは僕たちは黄色人種だから」と話しているのが印象的でした。

すなわち、Butterは、そうした様々な境界、人種や、ジェンダー、そして音楽のジャンルという制約や境界を超えて、BTSとして、世界に音楽を届けたい、という意思が読み取れるように思いました。

まとめ

今回のBTSの新曲「Butter」には大きく2つのテーマが重なり合っていると思います。

一つは、コロナ禍という苦境に立たされ、改めて自分たちの音楽を聴いてくれるファンの存在の大きさに気づいたこと、そして、そんなファンのために自分たちは音楽を作っているんだ、という自らの存在意義(アイデンティティ)の再定義の過程です。

もう一つは、Butterという日常的なものを題材に、ポップアートの哲学に則って、既存の制約や枠にとらわれず、「BTSというジャンル」の音楽を追求し、誰にでも愛される音楽を届けたい、という決意の表れです。

もちろん、このほかにも細かい描写で気になる点はいくつかあり、(サングラス、ロリポップ、ポップコーンなど)様々なメッセージが隠されていると思います。

もし他にもお気づきの点がありましたら、ぜひ教えてください♪

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