BTS新曲「Butter」のコンセプトはポップアート!コンセプトクリップを解説

RMBTS
bts_twtより

みなさん、こんにちは!
さこまよ(@SacchanOT7)です!

今回は5月4日に公開になったBTSの新曲「Butter」のコンセプトクリップの解説を行います。
今までノーマークだった少し大きなコンセプトを発掘してしまったので、新しく記事にしました。
これまで実は色んな媒体でヒントが出ていたんですよね。
そうしたものとの関連も触れていきたいと思います。

前回までの考察記事は以下です。

ティーザー公開前に書いたもの

BTS「Butter」を深掘り!意味を考察
BTSの新曲「Butter」のリリース発表までの流れと、「Butter」に込められた意味の考察。 世界中のファンが提唱する「Butterfly」との関連性に加えて、「Butter」の意味やWeverseの告知文からヒントを得て考察をしてみました。

ティーザーポスターの考察

BTS「Butter」ティーザー公開!意味を考察!
BTS新曲「Butter」ティーザーの考察を公開されるごとに順次アップしていきます。花様年華、RUNミュージックビデオなどとの関連について写真を織り交ぜながら考察していきます。

ミュージックビデオ公開後の最新の考察&解説はこちら

BTS「Butter」ミュージックビデオ公開!考察まとめ・解説!
BTSの新曲「Butter」に込められた意味をミュージックビデオ、歌詞、一連のティーザー、記者会見や雑誌のインタビューなどをもとに考察。コロナ禍において自分たちの存在意義を見直したBTSが、ARMYに送るメッセージと、「BTSというジャンル」を確立していくという意思表明と考えました。

コンセプトは「ポップアート」だった!

これに気が付いたときは衝撃が走りました(自分の中で)。
今回のButterのコンセプトには間違いなく、「ポップアート」の要素が盛り込まれています。

読み解くカギが、実は2021年4月9日に公開された「Weverse magazine」にありました。

カギはWeverse Magazineにあった!

weverse magazine

Weverse Magazineより

[NoW] アンディ・ウォーホルにつながるパーティー会場 - Weverse Magazine
アンディ・ウォーホルにつながるパーティー会場 - Weverse Magazine

2021年4月9日、ウィバースマガジンでは、「アンディ・ウォーホル」をテーマにした記事がアップされています。
こちらを読んでから今回公開された一連のティーザーポスター、コンセプトクリップを見ると、なるほど合点がいきました。

こちらの記事を要約・抜粋すると以下の通り。

  • ソウルで開催されている「ANDY WARHOL : BEGINNING SEOUL」の記事
  • アンディウォーホルは「芸術はあなたが日常を抜け出すことができるすべてのものだ」という言葉を残し、日常における経験と芸術に対する大衆の関心を喚起
  • 展示会場は日常的にパーティを開催していたアンディ・ウォーホルの「ファクトリー」(彼のアトリエ兼サロン)が連想される
  • 作品の強烈な色彩と照明の強いコントラスト
  • シルクスクリーンの平面作品だけでなく、オブジェ、ドローイングなどの作品で構成
  • 生活用品の缶や包装紙、コーラの瓶、紙幣など日常的な素材はウォーホルの手にかかり、社会を見つめる芸術に変化した。作品の中に見られる対象は、単純に現実の製品や人、それ自体を記録し提示するのではなく、誰もが知っている大衆的な対象を選択し見せることによって、その時代と社会の総体的な風景を語ろうとしていた
  • 作品とフォトゾーンが混在しており、アンディの作品と見る人の記憶を写真で残すことができる。観覧客が写真の中の主人公となった瞬間を日常として残す
  • 変わらない写真の瞬間性と永遠性を絶賛したアンディ・ウォーホル

ここでいくつかキーワードをハイライトしました。
アンディ・ウォーホルのポップアートの紹介と、その意味が解説されています。

ポップアートとは

また、同時に「ポップアート」についてウィキペディアで調べてみました。
以下、ウィキペディアの抜粋です。

ポップアート(pop art)は、現代美術芸術運動のひとつで、大量生産・大量消費社会をテーマとして表現する。雑誌広告漫画、報道写真などを素材として扱う。1950年代半ばのイギリスでアメリカ大衆文化の影響の下に誕生したが、1960年代アメリカ合衆国ロイ・リキテンスタインアンディ・ウォーホルなどのスター作家が現れ全盛期を迎え、世界的に影響を与えた。

自分達を取り巻く大量生産・大量消費社会の風景を、山や海や農村にかわる新しい「風景」ととらえ、親しみ深い風景の一部である商品や広告を、淡々とあるいは美しく「風景画」に描こうとするものもあった。

最初にポップアートが盛んになったのはイギリス(特にロンドン)であった。エドゥアルド・パオロッツィは戦後間もなく、米軍兵士らと共に持ち込まれたアメリカの雑誌の切り抜きでコラージュを作り、すでにポップアートの始まりとなる作品を作っていた。

ハミルトンは翌年、この展覧会を振り返って「ポップ」(大衆文化)を次のようなものだとした。
”通俗的、一過性、消耗品、安価、大量、若々しい、しゃれた、セクシー、見掛け倒し、魅力的、大企業”

1960年代に入りアメリカのポップアートの代表格ともいえるロイ・リキテンスタインと、商業デザイナーだったアンディ・ウォーホルの二人が、コミックスの拡大模写によって世に出た。大量に印刷され、絵柄も似たり寄ったりの漫画は、既製のイメージの中でも最もキッチュで悪趣味なものではあるが、単純で力強い線などが魅力的であり「グッド・デザイン」を粉砕する威力があった。アンディ・ウォーホルはその後キャンベル・スープの缶、ブリロ(洗剤)の箱、マリリン・モンローなど女優や有名人の写真などいたるところにあるイメージを用いた版画を大量生産した。

アンディ・ウォーホルとリチャード・ハミルトン

アンディ・ウォーホルといば、「キャンベルスープ」やマリリン・モンロー、アインシュタインなどの絵が有名ですね。
先ほどのウィバースマガジンにあったように、日常的な素材を捕らえ、誰もが知っている大衆的な対象を選択し見せることによって、その時代と社会の総体的な風景を語ろうとしてたのですね。

キャンベルスープ

アンディ・ウォーホル「キャンベルスープ」

マリリン・モンロー

アンディ・ウォーホル「マリリン・モンロー」

このような、同じ絵を何枚も並べる手法は「反復」といい、印刷技術や機械化が進んだ現代の技術を使用した版画で、「大量生産」「均一性」を意味していると言います。
つまり、大量生産されたものを表現することで、同時に消費社会、大衆社会を表現しているのです。

また、アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインの作品で気になるのが、このアメコミのような点々。

アインシュタイン

アンディ・ウォーホル「アインシュタイン」

アンディ・ウォーホル

アンディ・ウォーホル「マリリン・モンロー」

この点々は、「シルクスクリーン技法」という、同じ絵を大量に製作する際に利用された技法で、孔版画の技法の一種であり、インクが通過する穴とインクが通過しないところを作ることで版画の版を製版し、印刷する技法です。
先ほどのウィバースマガジンでも言及がありましたね。

アメコミ

シルクスクリーン技法による絵 ロイ・リキテンスタイン「ヘアリボンの少女」

こちらはロイ・リキテンスタインの代表作「ヘアリボンの少女」ですが、シルクスクリーン技法による点々がよくわかる作品ですね。

なお、アンディ・ウォーホルはアート作品を工場で大量生産するように製作することから自分のアトリエを「ザ・ファクトリー」と呼び、アート・ワーカーと呼ばれたスタッフを雇って機械的に作品を量産していきました。
(ウィバースマガジンでは、この「ファクトリー」で日常的にパーティが開催されていたとありましたね)

一方、抽象表現主義では、アートを理解するには画家の内面的な感情を理解し、そうすることでアートに隠された意味を理解できるとされていましたが、アンディ・ウォーホルは、敢えて製作を機械化することで画家の内面とアート作品そのものを切り離したのです。

「アンディ・ウォーホルのすべてを知りたければ、表面だけを見ればいい」
とウォーホルは語りましたが、そうやってできあがった作品はアーティストの所有物ではなく、みんなのものとなります
(まるで大量生産されたコカ・コーラが多くの人に愛されるように。)

つまり、ウォーホルは「すべての人に開かれたアートを」というポップアートの考えを、大衆イメージの大量生産という方法で表現したと言えます。

 

また、ウィキペディアによると、「コラージュ」もポップアートとのことです。
コラージュといえば、リチャード・ハミルトンの作品が有名です。

コラージュ

リチャード・ハミルトン「マイ・マリリン」

リチャード・ハミルトン

リチャード・ハミルトン「ポップアート」

リチャード・ハミルトンのコラージュの大部分はアメリカの雑誌から取られたものであるとされています。
リチャード・ハミルトンは既に存在する素材をコラージュすることで新しい美と意味を表現できることを証明できたアーティストであるということです。

特に、ハミルトンの出世作「一体何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力あるものにしているのか」は、コラージュ素材の組み合わせによって、当時の物質主義一辺倒の風潮に対する風刺、固定化された男女の役割概念への問題提起など、様々な意味を見出すことができる作品に仕上がっています。

リチャード・ハミルトン

リチャード・ハミルトン「一体何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力あるものにしているのか」

よく見ると肉体美の男性が持っているのは「ロリポップキャンディ」ですね。

参照記事

BTS「Butter」の意味とジャケットアート

butter

bts_twtより切り抜き

ここで、「Butter」のトラックのジャケットをよく見てみると、あれ?点々が見えますね。
これはシルクスクリーン技法で描かれたアート作品を連想させますね。

また、Butterのリリースが発表されたときのビッグヒットの紹介文を再度見てみましょう。

ニューシングル「Butter」は、ARMYの皆さんの日常にバターのように溶け込むBTSの魅力を存分に堪能できる曲です。一緒に楽しみながら、時にはなめらかで、時にはカリスマ感あふれるBTSの魅力にはまってみませんか?

さらに、前々回の私の記事でバターについて深堀りしました。

西洋では、生活の象徴として「バター」という言葉が用いられることがある。「大砲かバターか」という言葉は軍事(大砲)か生活(バター)のどちらを優先するか、という意味で用いられる。

おんや??
「生活の象徴」「日常」というキーワードが、先ほどのウィバースマガジンやポップアートを調べた際に出てきたキーワードとリンクしますね!

どうやら、BTSはポップアートの手法を使って、日常的な素材である「Butter」を題材に、アートとしての音楽を表現しようとしているのではないでしょうか?
そしてその音楽は、アンディ・ウォーホルの作品のように、「みんなに開かれたもの」であり、「みんなの日常に溶け込むもの」となることを意図して作られたのではないでしょうか?

「Butter」5/2に公開されたティーザーポスターと5/4以降に公開されたコンセプトクリップ

ウィバースマガジンのキーワードと、「Butter」の紹介文やジャケットアートをみて「これは確かにポップアートだ!」と気づいたのですが、その仮定で、今回公開された一連のティーザーポスターやコンセプトクリップを再度見てみると、やはりここにもポップアートの要素がふんだんに盛り込まれていました。

「Butter」ティーザーポスター

butter_teaserposter

bts_twtより teaser poster

ここで、5月2日に公開されたティーザーポスターを見てみます。
あれ…?これって…コラージュじゃないですか?

また、黒と白の部分が気になっていたのですが、これはダダイスト「Hans Richter」の作品を連想させる、という海外のARMYさんのツイートを目にしました。

Hans Richter「Rymthmus 21」

その真偽のほどは分かりませんが、いずれにしても、BTS「Butter」のティーザーポスターが、ポップアートでいうところのコラージュ作品を意識していることは間違いなさそうです。

なお、写真一つ一つの意味については、前回の記事で書いたように、「花様年華」を暗示させるものだったり、BTSのこれまでの作品とリンクしていたりしそうです。
BTSは一つの楽曲やMVに複数の意味を重ねてくることはよくありますね。

※追記

Twitterでフォロワーさんに教えていただいたのですが、このポスターに使われている写真は全てが「POP」と関連している!とのことです。
・ロリポップ
・ソーダポップ
・バルーンポップ
・クラッカー(POP OUTする=飛び出るモノ)
・グミ、カメラのフィルムが飛び出ている
・トースター→ポップアップトースター?

そうだとすると、このティーザーポスター1枚で、全力で「ポップアート」をほのめかしている、ということになりそうですね。

「Butter」コンセプトクリップ

5/4公開コンセプトクリップージョングクとRM

5/4に公開されたコンセプトクリップがこちら。

背後に流れる「カンカンカン」という音はアフリカンミュージックのようにも聞こえました。
一方で、どこか、フォークやナイフをたたくような音にも聞こえたのです。
そう思った理由は、「Butter」が発表になる直前の「ロゴトレーラー」動画で聞こえたキッチンの音を思い出したからです。

BTS (방탄소년단) 'Butter' Logo Trailer
Connect with BTS:

このキッチンの音も「日常」を連想させる音ですよね。
こうした、日常の音を使って音楽を紡ぐ、まさにポップアートの手法を取り入れているのではないでしょうか?

RM

bts_twtより

また、動画を通して「照明」や「色」が印象的でした。
先ほどのウィバースマガジンでは、アンディ・ウォーホルの作品について「作品の強烈な色彩と照明の強いコントラスト」と言及していました。

さらに、上記の写真の、ライトがいくつか重なっている(ブレている)ように見えるのは、「多重露光(double exposure)」という写真技術なのではないかと思いました。
多重露光とは、フィルムで撮られる写真で応用される技術ですが、同じフィルムで複数回シャッターを押すとこのように、同じ写真に絵が重なるのです。

https://switch-box.net/double-exposure-portraits.html

こうした技法も、写真やフィルムが発達した現代アートならではのものですね。

さらに、光と影を印象的に利用しているのも気になりました。

ジョングク

bts_twtより

現代アートは光や照明をよく利用していますね。
「光 アート」で検索してみてください。

Olafur Eliasson「Real life」展@Tate Modern

様々な展示会やアート作品が出てきます。
以前、「チームラボ」という光を使った現代アート展を見に行ったことがありますが、昨年、話題になりましたね。(チームラボ公式HP

同様に、「インスタレーション」というアートの技法にも注目です。
インスタレーションとは、展示方法を工夫することからスタートし、次第に空間自体を作品化する手法として広がった美術の手法です。
インスタレーションには、映像や音響、彫刻、絵画、日常的な既製品、廃物、スライドショー、パフォーマンスアート、コンピューターなど、どんなものを使ってもよく、美術館でも画廊でも自宅でも自然の中でも、どんな場所で行っても良い、とされています。

そういう意味でいえば、今回のコンセプトクリップは「インスタレーション」の映像作品みたいだなと思いました。

5/5公開コンセプトクリップージンとSUGA

5/5に公開されたコンセプトクリップがこちら。

今回も、多重露光の技術や光を駆使してきていますね。
また、今回もインスタレーションっぽい感じです。
色味なども5月4日公開のものと同じです。
違っているのは、音楽ですね。
音楽は、ボンゴのような太鼓の音、ベースのような音、電子音も聞こえてきます。

4日に公開になった音が、金属音のカンカンカンというシンプルなものだったことと比べると、「やや進化した」と捉えることができました。
完全なる私の憶測ですが、身の回りのものを使って音楽を奏でていた時代から、打楽器、弦楽器を発明し、次第にデジタル楽器も取り入れていった、人間の音楽の進化の歴史のようにも感じました。

もし音楽が進化しているのだとしたら、5/6に公開になる音楽は、デジタルサウンドを駆使してポップ感ある音楽が採用されてくるのかな?(だんだんButterのサウンドに近づく?)と思いました。

もう一つ気になったのが、ジンの風船を手放す部分です。

ジン

bts_twtより

血汗涙のミュージックビデオで、ジンが同じく風船を手放すシーンがありますが、そこを連想しました。

ジン

血汗涙のミュージックビデオより

血汗涙のミュージックビデオでは、小説「デミアン」のストーリーになぞらえ、自分の中の悪魔的存在と出会い、青年が大人になることを意味しています。
受け入れたくない、認めたくない自分の悪魔的部分と出会ってしまったことを意味するRMの独白とともに、風船を手放すジンのシーンから、「風船を手放す=大人になる」こを意味していると捉えることができます。

suga

bts_twt

jin

bts_twt

もう一つ気になった点が、5/4公開のクリップにも同じ描写がありますが、多重露光の技術や光の技術により、メンバーが何重にもなって見えることです。
これは、ユング心理学で言うところの、ペルソナ、シャドー、アニマ、アニムス、など、自己の無意識の部分に色んな自分がいることを表しているのかと思います。
それを統合してこそセルフコントロールができるとユング心理学では考えます。

jungkook

bts_twt

先日公開された、「MAP OF THE SOUL ON:E コンセプトフォトブックpreviw cut」で「ペルソナ」と題され公開されたメンバーたちの顔が、多重露光の技術により何重にもなっていたことからも、着想を得ることができますね。

5/6公開コンセプトクリップーJ-Hope、ジミン、V

音がさらに進化して、デジタルサウンドのダンスミュージックを彷彿させますね。
前々回の記事でもご紹介したように、Butterのプレスリリースで、「ダンスポップ」という紹介があったので、これに近づいてきたと言えます。

また、J-HOPEの履いている靴「SUB HUMAN」については、デザイナーrick owenのdrkshdwコレクションのもので、片方にin-sub-super、もう片方にhumanと印字されているそうです。
記事によるとowenは同名の個展にて「僕が取り組んでいるのは生きること、つまり自分の中にある認めたくない野心、肯定的な部分のバランスを取り妥協すること」と、と述べています。
この個展のコンセプトにユング心理学の要素が盛り込まれているように感じられます。
ユング心理学とかかわりの深いBTSがこの靴を採用したのにも意味がありそうです。

なお、Rick Owenの作品は、ONのミュージックビデオでもメンバーが着用していました。(ONは「MAP OF THE SOUL:7」のタイトル曲で、ユング心理学の「心の地図」のコンセプトを取り入れている)

Vogue記事

さて、こちらのコンセプトクリップについてですが、以上3つのパターンの音を合わせてくれた方がいたので、それを聞いてみるとますますイメージが膨らんで、とても楽しみになってきました。

直前に公開された「MAP OF THE SOUL ON:E コンセプトフォトブックPreview cut」

先ほど見た「ポップアート」のウィキペディアで、ポップアートの定義について、リチャード・ハミルトンは”通俗的、一過性、消耗品、安価、大量、若々しい、しゃれた、セクシー、見掛け倒し、魅力的、大企業”と述べていました。

確かに、ポップアートは、「若々しさ」「既存の規範にとらわれない」といったイメージがあると思います。

ここで引っかかったのは、「若々しさ=Youth」です。
少し前に公開されたMAP OF THE SOUL ON:E コンセプトフォトブックPreview cutの中で、「Youth」とは?と一時Twitterなどで話題になっていました。

コンセプトフォトブックのショートフィルムRMバージョンをご覧ください。
ここでは上のツイートでご紹介した、黒板に書かれた「Youth」の文字、RMの顔にシルクスクリーン技法で描いたような点々、反復技法で描かれた写真の羅列・・・
まさにポップアートの手法盛りだくさんで来ていたのですね!

[PREVIEW] BTS (방탄소년단) 'MAP OF THE SOUL ON:E CONCEPT PHOTO BOOK' Short Film #RM
Connect with BTS:

なお、リーダーRMは普段から芸術に親しみ、3/24公開のウィバースマガジンでは韓国現代美術を紹介するRMの記事がアップされています。

Weverse - Official for All Fans
Enjoy every moment with artists on global fandom life platform Weverse.

BTSが「Butter」で言いたいこと(考察)

しばしばKPOPアイドルは、「ファクトリーアイドル」と呼ばれることがあります。(参照
それは、画一的によくトレーニングされ 、同じような曲を大量に出し、大量消費されていくことを揶揄しています。
しばしば、BTSは自分たちが「アイドルであること」を引き合いにだし、アイドルが音楽を作ること、の苦悩を述べています。
(SUGA「俺の生きる場所はアイドル 否定はしない 幾度となく精神をえぐった苦悩」)参考記事

BTSは、商業主義、大衆文化、大量消費社会の真っただ中に身を置き、しかも自分たちがそれを体現する存在=アイドルであることを強烈に意識していると思います。

しばしば、BTSはコカ・コーラをミュージックビデオで飲んでいたり、自らもコカ・コーラやマクドナルドとコラボしていますが、ちょうどコカ・コーラが大衆文化、大量消費社会の象徴であることから、ポップアートの素材となり、「誰からも愛される」ものであることと重ねてしまいます。

BTSがコカ・コーラ社とグローバル契約締結!新しい顔に♪
BTSがコカ・コーラ社とグローバル契約を締結!インドネシアでのCMでの歌声披露を皮切りに、今後全世界で徐々にBTSとタイアップしたコカ・コーラ社の新CMが展開される模様です。BTSの過去のコカ・コーラ社とのコラボ実績から今後の活動を検証!

先ほど述べたアンディ・ウォーホルの章の文章を再度見てみます。

「アンディ・ウォーホルのすべてを知りたければ、表面だけを見ればいい」
とウォーホルは語りましたが、そうやってできあがった作品はアーティストの所有物ではなく、みんなのものとなります
(まるで大量生産されたコカ・コーラが多くの人に愛されるように。)

つまり、ウォーホルは「すべての人に開かれたアートを」というポップアートの考えを、大衆イメージの大量生産という方法で表現したと言えます。

つまり、BTSは今回の「Butter」で、ポップアートをコンセプトに据えることで、ポップアートと自分たちを重ねているのではないかと思います。

世界中で今や不動の人気を獲得し、様々な企業とコラボし、CMやテレビに引っ張りだこのBTS。
日々色んなコンテンツが製作され、それがSNSなどで公開され、それを消費する私たち。
彼らに触れていると、「まさに大量消費文化だなあ」と思ってしまうことが多々ありました。
BTSがまさに「消費される存在」であることを強調されているかのようで、若干のモヤモヤを抱えていたのですが、今この「ポップアート」のことを知り、それをコンセプトとして据えられたことで、このモヤモヤが一気に晴れた気がしました。

そうか、大量消費されるアイドルである、ということを逆手にとって、誰にでも愛される作品、見る人が主人公となるような作品を作っていこうとしているんだBTSは・・・

そして、「Butter」は私たちの日常に溶け込み、みんなに愛され、見る人を幸せにする、大衆的でキャッチーな、楽しい音楽なんだろうと思いました。

PS.なお、前回のレトロポップディスコ調の楽曲「Dynamite」のミュージックビデオには「マイケルジャクソン(King of POP)」の振り付けのオマージュだったり、ジョングクの部屋にはビートルズやデビッドボウイなどのポップやロックアイコンのポスターが貼られていましたね。

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