BTSのYet To ComeのMV・歌詞の考察|The most beautiful moment

Yet To Come

こんにちは!さこまよ(@Sacchan_OT7)です。

2022年6月10日、BTSのアンソロジーアルバム「PROOF」が公開になるとともに、タイトル曲「Yet To Come」のミュージックビデオと音源も公開になりました。

今回は、涙なしには見ることができなかったYet To Comeのミュージックビデオの考察とこれまでのteaserなどから得られたヒントをもとに、解釈してみたいと思います。

Yet To Comeのミュージックビデオは過去のBTSのミュージックビデオのオマージュが盛りだくさん!

13時解禁になったミュージックビデオを見て、まず最初にオマージュが散りばめられていること、歌詞の意味に触れて思わず泣いてしまいました。

上記ツイートはパッと思いついた過去のBTSのミュージックビデオのオマージュと思しきシーンを比較したものですが、当時あまり時間がなくきちんと説明できなかったのでこちらにて解説します。

Yet To Comeミュージックビデオ時系列順オマージュ解説

yet to comeジョングク

まず、ミュージックビデオの最初のシーンでジョングクが砂丘に座り、手を丸くして覗いている仕草は、花様年華on stage prologueのラストのシーンで同じものがありました。

花様年華on stage

花様年華 on stageではジョングクが覗いた先には海がありました。

Yet to Comeでは、覗いた先には7人が椅子に座るシーン。

yet to come7人

背景の音には、かすかに波の音が聞こえてきます。

just one day

この並び順は学校三部作時代のJust one day(ハルマン)のミュージックビデオの並びと同じです。

yet to come

砂漠に走る黒いSUV。
花様年華でジンが運転していた車ですね!

花様年華

花様年華 on stageでもたくさん出てくる車です。

ジン

その後、ジンが優しい安堵の笑顔を見せますが、これはEuphoriaで一時全てが好転したかのように見えたときのジンの笑顔のオマージュです。

なお、ここでメンバーが来ている服は全て過去MVで着用していた服のオマージュです(後述)。

euphoria

また、テテのスーツと、花瓶にさしてある花(バラ)のシーンは、Highlight reelでスーツを決めながら鏡の横にあった花瓶の花(百合)のジン君のシーンとも似ています。

yet to comeジョングク

これは分かりやすかったですね。
You never walk aloneと書いてあるメリーゴーランドは、Spring dayのオマージュです。

spring day

yet to come

また、ジンと、横にある砂漠に埋もれた天使(悪魔)の彫刻。

血汗涙

血汗涙で、悪魔(テテ)の誘惑に惹かれ、ジンがこの彫刻とキスをするシーンのオマージュです。
このシーンは、悪魔との契約を意味すると思いますが、自分の中の悪(evil)を受け入れることで少年は大人になる、boy meets evilの描写です。

yet to comeでは、この彫刻が砂漠に埋もれている様子をジンが遠くから眺めています。
成長期の痛みを懐古しているのかなと思いました。(そんな時代もあったね~、しみじみと大人になったジンが感慨深くなっている)

yet to come

次は、砂においてある水色のスニーカーをジミンが拾うシーン。

spring day

Spring Dayのこのシーンと同じですね。ジミンは服も同じです。

 

yet to come

ユンギがピアノに乗っていて、周りは花で囲まれているシーン。
最初に蝶々も舞います。

first love

このシーンは、ユンギがWINGSショートフィルムでピアノと向き合うシーンを思い出させます。この時はピアノが燃え、花様年華で母親の愛を受けられずに苦しんでいたユンギの苦悩を表していましたが、Yet to comeでは明るい色調で、ピアノの上で「僕は、僕はさ、ただ音楽が好きなんだ。」と本当の自分自身の好きなものを見つけ、何か一つ解脱したような爽やかさを感じさせます。

yet to come

こちらも分かりやすかったですね!
花様年華の象徴とも言える数字の書いた青いコンテナ。

run

RUNのMVで出てきました。

yet to come

ホソクの後ろにある寂れた電車はSpring Dayの電車と同じです。

spring day

Spring Dayは映画スノーピアサーのオマージュではないかと言われていますが、スノーピアサーでは、最後、電車(オメラスの象徴=誰かの犠牲の上に立つ理想郷)を脱出し、敢えて荒野に歩み出て、新たな世界を目指します。
この設定が、Spring dayでは生かされています。

yet to come

また、7人がトラックに乗るシーンは、花様年華 on stageのオマージュです。

花様年華

また、このトラックのシーンで、「長い長い円周を周り、結局また同じ場所 back to ONE」のポーズはRUNと似ていますね。

run

王冠と花、数々のトロフィーを貰うような輝かしい成績を残しても
We ain’t about it=僕たちには関係がない
Dream & Hope & Goin’ forward(夢、希望、前進、前進)
We so about it=僕たちに重要なのはこれだ
長い長い円周を周り、結局また同じ場所
Back to ONE=最初に戻る

の歌詞は泣いてしまいますね。

次にこのジミンのシーンもSpring Dayです。

次のテヒョンの、怪訝に眺めるシーンは、Euphoriaで既視感に気がつくテヒョンのシーンかなと思いました。

euphoria

SNSなどでは怪訝に伺うシーンから、以下の血汗涙の一連のシーンまで続いているという説も。

血汗涙

テテとジンの役割が反転して、血汗涙ではテテがジンを目隠ししていましたが、Yet to comeではジンがテテを目隠ししています。

なお、目隠しをするとは、見たくないものを見ない(大人になることを拒否する、嫌いな自分を受け入れない)という意味かと思いますが、Yet to comeでは、目隠しを外した視線の先は、スクールバスでした。

黄色いスクールバスに駆け寄る7人はEuphoriaでジミンを病院から脱出させるシーンと重なります。

euphoria

また、この黄色いバスは、学校三部作に収録されデビュー曲であるNo more Dreamで出てきたバスです。

no more dream

次のシーンは砂丘に向かってジョングクが駆けるシーン。


ここからはONを連想しました。

ON

ONでは、ジョングクが遅れて他のメンバーたちに追いつくのですが、Yet to comeではジョングクが先に上り、他のメンバーを手招きしています。
花様年華で、最後まで救われなかったジョングクが遅れて兄たちに追いつくのが、ここでは先に上ってみんなを導いている、まさに成長を表しているのかなと思いました。

なお、先ほどの黄色いスクールバスのNO MORE DREAMからONへのつながりは、ONのミュージックビデオでもヒントがありましたね。

on

ONミュージックビデオより

on

ONミュージックビデオより

NO MOREが消えて、DREAMだけが残った、あれです。

 

また、黄色いバスの上を両手を広げて歩くジョングクは、Euphoriaからです。

また、最後手のひらをジョングクが手のひらを広げて笑顔になるシーンも、Euphoriaを連想しました。

そして、最後の手でフレームを作るシーン。

こちらもSpring Dayのオマージュです。
この部分の歌詞が、とても泣けるのですが、

確かに過去は素晴らしかった(ベストだった)
でも僕のベストはこの次に来るものだ(まだこれからだ)
日が昇るまで歌うよ
あの日に向かって
もっと僕たちらしく
You and I, best moment is yet to come

Spring Dayでこの手を作っていたのはテテの他にジンも印象的でした。
これはタイムリープを行うジンが未来を覗くフレームなのだと思います。
テテとジンの役割が度々入れ替わっているのですが、Yet to Comeではテテがフレームを作り、僕たちのこれから来る未来のベストな瞬間を見ているのかと思いました。

そして、最後、穏やかな顔でバスに乗るジョングクから始まり、メンバーたちの様子が映ります。
これも、Spring Dayのオマージュですね。

Spring Dayも同じジョングクのアップから始まりますが、どこか不安げな表情を浮かべたメンバーたちでした。

Yet to comeでは、不安などない、穏やかな表情になっています。
どこに向かうか分からないハイスピードの電車に乗っている不安(Spring Day)から、No More Dreamの時のスクールバスに乗って、デビュー時の初心を思い出しながら、穏やかな気持ちでいる彼らの対比がグッときます。

BGMには、海の波の音が聞こえます。

心の平穏=Serenityがテーマカラー

今回のYet to Comeのジャケットカラーはセレニティです。
セレニティの意味は、心の平穏、を意味します。
花様年華の色味が桜色=花の色=ローズクオーツだとしたら、今回は2016年の二つの流行色のうちのもう一つの色、セレニティ。
最後、スクールバスに乗って穏やかな表情を浮かべるBTSには、心の平穏がありました。
ミュージックビデオ全体を通して、平穏な雰囲気があるので、テーマはセレニティなのだと思います。

なお、ローズクオーツは「自分自身を愛する」という意味があることから、まさにBTSの花様年華のテーマ、LOVE MYSELFなんですよね。

PROOFはBTSがChapter1を終える特別なアルバム

6月10日朝のプレスリリースで、RMが、PROOFは「デビュー9周年目を迎えたBTSがChapter 1を終える特別なアルバム」であると言っていました。

PROOF自体が、「BTSの過去、現在、未来」を盛り込んだ内容であることは前の記事でも書きました。

BTSアンソロジーアルバム「PROOF」トラックリストからメッセージを考察
BTSのアンソロジーアルバム「PROOF」のトラックリストが公開されました。BTSの過去、現在、未来を振り返ることができ、BTS(ME)とBTSとARMY(WE)のためのアルバムであることが、トラックから読み取れました。考察をまとめてみました。

Yet to comeのミュージックビデオでは、まさに過去作のオマージュが盛りだくさんで、彼らのこれまでの旅程が表されています。

そして、歌詞は、「僕たちのベストはまだこれからだ。もっとも美しい瞬間はまだこれからだ」と歌います。
Yet to comeはBTSの過去をトリビュートしつつ、これからくる未来をも表す曲です。

歌詞に込められた思い

現在のBTSの心情は、冒頭の歌詞が表していますね。

皆いつからか言うんだ、僕たちが最高だと
どれもよく分からないnames
今はただ重いだけ
歌が好きだったと、
ただ走るだけだと、
Promise that we’ll keep on coming back for more
(もっとすごいもの、良いものを携えて帰ってくると約束するよ)

この歌詞には、常に最高を求められ、次はもっとすごいものを!と期待され、それ自体が重荷になってしまっている様が見て取れます。

事前に投下のあったProof of inspirationでは、アーティストとしてのペルソナと、人間である等身大の自分の間で悩んだけれども、そんな自分を受け入れられるようになった、とメンバーたちがそれぞれの言葉で述べていました。

そんな自分自身を受け入れられるようになったのは、自分の好きな歌だったり、ステージに立つ喜びだったり、応援してくれるファンだったり、横にいてくれるメンバーのおかげでした。

花様年華からMAP OF THE SOULまで続いたBTSの自分探しの旅は、メンバーそれぞれが、自分のPROOF(自分の証、自分とは何か)、つまり「魂の地図」を見つけることで終結したのではないでしょうか。

つまり、これが、Chapter1の終結です。

そして、自分のPROOFを見つけるカギになったのが、他者の存在です。
WEであることにより、自分自身MEになる。

君の心の奥底、どこかに昔のままの少年がいる
My moment is yet to come
(中略)
いつから付いた馴染めない修飾語
最高だという言葉が今もまだ照れ臭い
僕は、僕はさ、ただ音楽が好きなんだ
今もあの時と変わったものはあまりないんだ

自分自身を見つめてみた結果、自分の中には幼い少年がいる。
それは、ただ音楽が好きだった少年。
今も、あの頃と変わりなく、音楽が好きな自分に気が付いているのです。

王冠と花、数多くのトロフィー
We ain’t about it(僕たちには関係ない)
Dream & Hope & Goin’ forward
We so about it(僕たちにとって重要なのはこれだ)
長い長い円を周り、結局また同じ場所
Back to ONE(最初に戻る)

自分たちはまだまだこれからだ。
最初の気持ちを思い出し、結局「ただ歌が好きなんだ」という初心に戻ってみると、まだまだやりたいことが見つかった。
その先を見てみたくなった。

So was it honestly the best?(本当に最高だったのか?)
Cause I just wanna see the next(ただこの先が見てみたいから)
眩しく通り過ぎてきた記憶の中でとても美しく
Yeah the past was honestly the best(昔は確かに最高だった)
But my best is what comes next(でも僕の最高の瞬間はこれから来る)
We’ll be singin’ till the morn(僕たちは朝まで歌い続けて)
あの日に向かって
もっと僕たちらしく

You and I, best moment is yet to come

もっと僕たちらしく、君と僕、You and I、僕たちの最高の瞬間を一緒に歩んでいこう、というメッセージで締めくくられます。

彼らのNew Chapterとは

今回のYet to ComeはBTSの集大成のような曲でした。
彼らの過去、現在、未来を歌い、僕たちらしく、君と僕(ファンとともに)歩んでいきたいというメッセージのこもった曲です。

そして、僕たちWEの観点を大切にするBTSは、PROOFの最後に、「For Youth」というファンソングを盛り込みました。

これまでは、1位になりたい、お金持ちになりたい、認められたい、世界に進出したい、嘲笑ったやつらを見返したい、という思いでがむしゃらに走ってきた彼らですが、そんな野望を達成した今、次に何を目指せばよいのか。
自分自身の心を振り返った先にあった、「ただ、歌が好き」という気持ち。

これからは、「好きな音楽」をもっと追求していきたい。

自分自身の「歌が好きだ、ステージに立つことが好きだ」という証=PROOFの先には、彼らの歌やパフォーマンスを聴いて感動してくれる受け手がいて初めて成り立ちます。

私たちが一緒なら、砂漠も海になる

デビューしたら報われると思っていたけど、心無い言葉を浴びせられる日々。
そこは砂漠だった。
僕たちの最も美しい日々はまだ始まっていなかった。
海にたどり着くには、砂漠を超えなければらない

WINGS FINALではこのように語られました。

そして、同コンサートで、ARMYがサプライズで持っていたスローガンが、
私たちが一緒なら砂漠も海になる、でした。

メンバーたちはそのスローガンを見て号泣していました。

どんなに嘲笑をされても、差別や偏見を受けても、いつもファンがかばい、着いてきてくれた。(Got ARMY right behind us)
ファンとの関係性、そんな双方向性を大切にして、ずっと僕たちらしく続けていきたい。

そんな彼らの新しい道のりが、New Chapterなのではないかと思います。

Yet to comeのミュージックビデオは砂漠が映されています。
しかし、海の音は聞こえるのに、海の姿は見えません。
なぜなら、最も美しい日々(あの海での日々)はまだこれから、だからです。

 

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