BTSの楽曲と「シンクロニシティ」の関連性|DNAとSerendipity

dna BTS
「DNA」ミュージックビデオより

こんにちは!さこまよ(@SacchanOT7)です!
今回はBTSの楽曲とユング心理学上の概念「シンクロニシティ」の関連性について掘り下げていきます。

BTSの多数の楽曲にはユングの心理学の考え方が見られます。
今回は、ユングの心理学の中でも最も大事な「シンクロニシティ(共時性)」の概念と、それと明らかに関連しているBTSのヒット曲「DNA」とジミンのソロ曲「Serendipity」を題材に、その曲に込められたメッセージを深堀していきたいと思います。

シンクロニシティ(共時性)の意味

心理学者カール・グスタフ・ユングの提唱する概念で「シンクロニシティ(共時性)」というものがあります。

シンクロニシティ(共時性)とは、「一見何の関係もないことが、偶然同時に起こることで、それによって何か意味を感じること」と言えます。
例えば、「虫の知らせ」という言葉がありますが、「祖母の夢を見た日の翌日、祖母が亡くなった。虫の知らせだったのかな」という現象も、シンクロニシティです。

その、シンクロニシティが起こる理由として挙げられているのが、「無意識」の存在です。
ユングの心理学では、「集合的無意識」というものがあり、「全ての人間の心は無意識で繋がっている」という考え方や、「人間の心には、宇宙をはじめとする全てのものに存在する秩序が共通して存在している」とする考え方があります。

その結果、単なる時間的な因果関係(過去の出来事があって、未来の出来事がある)だけでは説明のできないような、「シンクロニシティ」のようなことが起こると考えました。

つまり、シンクロニシティは、「そこに因果関係はないけれども、人間の無意識の奥にある秩序によってもたらされた、意味のあるできこと」を指します。

「タロット占いで、ある結果を得て、それが実際にあたること」もシンクロニシティの原理と言えます。
占いの結果(タロットで引いたカード=偶然)と、占いを受ける者の切迫した問い、外的世界の状況の三者の間には意味のある秩序があるために、占いの結果が当たるんだ、という考え方です。
ここで間違えてはいけないのは、ユングはシンクロニシティを決して「オカルト的なもの」と捉えていたのではなく、あくまで「科学的なもの」として捉えていたことです。

ユングは、様々な人の心理実験や精神分析などの科学的実証実験を踏まえて、上記のような結論に至っています。
とはいえ、ユングの母親は霊能者の家系だったこともあり、オカルト的なことに興味があったのかもしれませんね。こうした超常現象の説明をどうにかして科学的に解明したかったのかもしれません。

なお、余談ですが、ユングの父親は某秘密結社の中心メンバーだったのではないかという説もあり、ユング自体も大変興味深い人物です。

ユングの心理学について、詳しくは『ユング心の地図』(マレイ・スタイン著)をご参照ください。
また、以下の「DNA」の歌詞深掘りの章でより詳しく「シンクロニシティ」のことを書いています。

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ジミンのソロ曲「Serendipity」について

serendipity

「serendipity」より

「Serendipity」は2017年にリリースされたBTSのアルバム「承Her」のイントロ曲で、ジミンのソロ曲でもあります。
この「Serendipity」の曲も、先ほどの「シンクロニシティ」の考え方を理解しているとより深く理解することができます。

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Serendipityの意味

Serendipity(セレンディピティ)とは、「予測していなかった偶然によってもたらされた幸運」「幸運な偶然を手に入れる力」のことを言います。

科学の世界においては、よく偶然から大きな発見がなされることがあるため、しばしば科学者が口にする言葉として有名ですね。

一方、「Serendipity」とは単なる偶然、という意味に終わらず、セレンディピティが起こるためには、それを探し求めている自分自身の意思の存在であったり、努力の積み重ねが必要です。
努力や意思があれば必ず起こるものでもないけれど、努力や意思があってこそ起こる現象ということですね。

このセレンディピティと、シンクロニシティの考え方の根底には共通するものがあります。

セレンディピティも、「無意識の作用により、偶然、幸運がもたらされること」という意味を持つ点で、シンクロニシティと共通します。
一方、セレンディピティには、こうした偶然をもたらすことのできる「才能」という意味もあります。
例えば、「ある研究者が、病気の治療薬を開発しようと日々研究や観察を進めていたがなかなかうまく行かず、気分転換に外に散歩に出たところ、偶然出会った少年の一言から薬の完成のヒントを得た」ことはセレンディピティですし、そんな偶然を引き寄せる才能もセレンディピティです。

そうした偶然は、私たちの無意識が宇宙の秩序(摂理)を反映しているものだからこそ起こりうるもので、起こるべくして起こったこと、とも言えます。

「Serendipity」の歌詞を深掘り

ここで、「Serendipity」の歌詞を見てみましょう。

何もかも偶然なんかじゃない ただただ 僕の感覚で
世界中が昨日と違う姿をしている ただただ 君の喜びで
君が僕を呼んだ時 僕は君の花として その時を待っていたかのように 僕達は痺れるように咲いた
それはきっと宇宙の摂理
そうだったんだよ U know I know
君は僕、僕は君
胸が高鳴る分 強い恐怖を感じる
運命がいつまでも僕達を妬むから 君と同じくらい 僕も怖い
When you see me When you touch me
宇宙が僕達のために動いた 少しのずれもなかった
君と僕の幸せは予定されていたんだ
Cause you love me And I love you
君は僕のペニシリン
僕を助けてくれる 僕の天使 僕の世界
僕は君の三毛猫 君に会いに来た
Love me now touch me now
Just let me love you
宇宙が生まれた瞬間から 全ては決められていたんだ
Just let me love you
君は僕のペニシリン
僕を助けてくれる 僕の天使 僕の世界
僕は君の三毛猫 君に会いに来た
Love me now touch me now
Just let me love you
宇宙が生まれた瞬間から 全ては決められていたんだ
Just let me love you
ほら隣においでよ
“僕達”になってほしいんだ
I don’t wanna let go no
ただ委ねればいいだけさ
口にしなくたって感じられる、そうだろう?
お星さまたちは浮かんでて 僕達は飛んでる 夢なんかじゃない
震えてないで僕の手を握ってて そうすれば”僕達”になれる
Let me love you
Just let me love you
宇宙が生まれた瞬間から 全ては決められていたんだ
Just let me love you

いかがでしょうか。
「シンクロニシティ」の意味合いを踏まえて考えると、ジミンのソロ曲「Serendipity」は、「強く願い、日々思い続けていれば、宇宙の摂理で、必然的に思いは通じるものだ」という意味が根底にあるのだということができます。

また、太字で書いた部分は要チェックの単語なのですが、「三毛猫」は稀に生まれる雌猫のことで、これもセレンディピティを表していますね。
さらに、「ペニシリン」も、偶然の結果発見された抗生物質のことで、これもセレンディピティです。

さらに、「何もかも偶然なんかじゃない」「宇宙が僕達のために動いた 少しのずれもなかった 君と僕の幸せは予定されていたんだ」「宇宙が生まれた瞬間から 全ては決められていたんだ」というフレーズはまさに「シンクロニシティ」から来ており、「”僕達”になる」というフレーズは「集合的無意識=人の無意識は繋がっている」の考え方の現れている個所です。

「Serendipity」のメッセージ

serendipity

「Serendipity」ミュージックビデオより

また、ミュージックビデオで度々現れる「月と太陽」「皆既日食」は、「月と太陽は決して交わることのない運命だけど、皆既日食(数年に一度訪れる(=稀な)現象)の際には交わることができる」という意味を表しています。
つまり、ここでは、「月と太陽」は「僕と君」を意味します。
なお、皆既日食は、宇宙の摂理で必然的に起こる現象ですね。

もっと言うと、「僕=ジミン」と「君=ARMY」の出会いは、起こるべくして起こった幸運=セレンディピティである、「僕=ジミン」と「君=ARMY」は繋がっているのだ、ということがメッセージとして込められているのだと考えらえます。

なお、この「Serendipity」はRMが書いた曲です。
ナムさん、恐るべし。

その他、「Serendipity」のミュージックビデオは「ジミン自身の成長」を表しており、とても示唆的なのですが、ここでは割愛し別の記事にします!

「DNA」について

BTSのアルバム「承Her」収録曲で「Serendipity」の次に来る楽曲が「DNA」です。
先ほどの「Serendipity」の歌詞を見てピンときた方もいると思いますが、いくつか共通するフレーズがありますね。
また、ミュージックビデオには不思議な数式や宇宙が出てきます。

dna

「DNA」ミュージックビデオより

dna

「DNA」ミュージックビデオより

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「DNA」の歌詞を深堀り

さて、それでは「DNA」の歌詞を見てみます。

ひと目で君に気づいたよ 互いに呼び寄せあったかのように
僕の血管の中のDNAが教えてくれる 僕が探し求めていたのは君だという事
僕達の出会いは数学の公式 宗教の戒律 宇宙の摂理
僕に与えられた運命の証 君は僕のの源 Take it take it
君に差し出した僕の手は定められた宿命
心配しないで love
僕達は全く違う baby
運命を見つけだした二人だから
宇宙が生まれたあの日からずっと 無限の世紀を越えてずっと
僕達は前世でも きっと来世でも
永遠に一緒だから

この全ての事は偶然なんかじゃないから
運命を見つけだした二人だから
DNA
僕は君だけに集中する
太初のDNAが君を求めているんだ
これは必然なんだ I love us
僕達だけが true lovers
彼女を見る度に心底驚いた
しきにり何度も息が止まるんだ 本当におかしい
もしかしてこれがまさか話にだけ聞いていた愛という感情なのか
最初から僕の心臓は君に向かってるから
心配しないでlove
この全ての事は偶然なんかじゃないから 僕達は全く違う baby
運命を見つけだした二人だから
宇宙が生まれたあの日からずっと 無限の世紀を越えてずっと
僕達は前世でも きっと来世でも
永遠に一緒だから

この全ての事は偶然なんかじゃないから
運命を見つけだした二人だから
DNA

振り返らないで 運命を見つけだした僕達だから
僕達は全く違う baby
永遠に永遠に永遠に永遠に
一緒だから
心配しないで love
この全ての事は偶然なんかじゃないから
僕達は全く違う baby
運命を見つけだした二人だから
DNA
La la la la la 偶然なんかじゃないから
La la la la la 偶然なんかじゃないから
DNA

「この全ての事は偶然なんかじゃないから」というフレーズは、さきほど「Serendipity」でも出てきたフレーズですね。
また、「僕達の出会いは数学の公式 宗教の戒律 宇宙の摂理」というフレーズも、「シンクロニシティ」の考えを理解していればピンと来たはずです。
ユングは、「シンクロニシティ」の考え方を決してオカルトではなく「科学的に」捉えています。
自明の事実として、人間の心は、宇宙の摂理(宇宙の原則、秩序)と同じようにできており、また人間の無意識は、宇宙の秩序を反映しているものと捉えていました。

その結果、単なる時間的な因果関係(過去の出来事があって、未来の出来事がある)だけでは説明のできないような、「シンクロニシティ」のようなことが起こると考えました。

また、ユングは、人の心は今も昔も、同じ作りをしていたと考えています。
人の心が宇宙の摂理を表しているのであれば、それはそのはずですよね。
昔の人の精神世界を良く表しているのが「神話」であり、だからこそ神話には今の人でも共感できる普遍性が感じられます。
また、しばしば神話の世界から派生するのが「宗教」ですが、「宗教」は普遍的な教えを説いており、宗教は今も昔も人の心の指針となっています。

また、余談ですが、ユングは人間の心の普遍性を知るのに「神話」を研究したと言います。そのためユングの心理学を知るには「神話」の世界を避けて通れないのですが、BTSの楽曲にも神話を思わせるフレーズが多いですね。
「WINGS」ショートフィルムや「血汗涙」のミュージックビデオ、「Dionysus」など。

「DNA」の歌詞の「僕達の出会いは数学の公式 宗教の戒律 宇宙の摂理」はすなわち、どれも普遍的なもので、決まっていること、あらかじめ定められているもの=運命、を意味します。
更に言うと、「DNA」も、人間の在り方を規定するコードであり、生まれる前の細胞の段階から決められている「運命」を表しますよね。
また、「宇宙が生まれたあの日からずっと 無限の世紀を越えてずっと僕達は前世でも きっと来世でも 永遠に一緒だから」のフレーズもとても示唆的です。
ユングのシンクロニシティの別名は「共時性」と言います。
ユングは「共時性」の概念をアインシュタインの「相対性理論=空間と時間は、立場によって変わる、相対的である」という考えに触れてさらに発展させます。
ユングが「時間と空間は相対的であり、それが心によって条件づけられる」と考えたきっかけはアインシュタインだったのです。つまりシンクロニシティ=共時性は、時間や空間を超えて起こる現象であるという考えなのです。

すなわちユングは無意識が、彼の言う先験的知識を所有していると考えたのである。「空間的にも時間的にも離れたある事象が、これに対応するイメージを生み出すと言っても、それに必要なエネルギーの伝達が考えられもしないのにどうして可能と言えるだろうか。見た目にはどんなに不可解であっても、最終的に私たちは、無意識の中には、いかなる因果的な基盤にもよらない事象についてア・プリオリの知識もしくは事象そのものへの『直接性』とでもいうべき何かがあると仮定せざるを得なくなる」
『ユング心の地図』(マレイ・スタイン著、入江良平訳)第9章「時と永遠について」(284~285ページ)より抜粋

シンクロニシティが時間や空間を超えて起こる理由は、人間の心(無意識)が宇宙そのものの摂理を表し、そのために私たちの無意識は本来だったら知るはずのないこと(空間的、時間的に離れたところ、生まれる前に起こったことまでも)を予め知っているからであるということです。

宇宙が生まれたあの日からずっと無限の世紀を越えてずっと僕達は前世でも きっと来世でも永遠に一緒だからこの全ての事は偶然なんかじゃないから運命を見つけだした二人だから」

DNAの歌詞で連呼される「永遠に」はこの概念から来ているのですね。

「DNA」のメッセージ

「DNA」、歌詞だけ見ても、さすがアルバムのタイトル曲だけあり、かなり骨太の内容でした。
ユングの心理学の考え方をふんだんに取り入れたこの曲でBTSが伝えたかったメッセージは、先ほどのSerendipityと通じるものがありますが、「僕と君=ARMYの関係は運命で必然であり、今も昔も、これからもずっと変わらず一緒だよ。」というものです。

また、そうしたメッセージを伝えつつも、こうした壮大で普遍的な世界観、哲学、人生観を表明し、それを私たちに教えてくれているんだと思いました。

実際、私もこの「DNA」の歌詞をもとに、難解で意味が不明だった『ユング心の地図』の解読ができたと思います。

まとめ

今回は、BTSの「DNA」と「Serendipity」を題材に、ユングのシンクロニシティ=共時性の概念を解説しつつ、BTSの曲に込められたメッセージを深掘りしました。

私たちの心が時間や空間を超え、無意識の部分で繋がっていること、またそれは宇宙の摂理を表していること、「自分=宇宙」という考え方を教えてくれています。

今回は、主に歌詞を見ながら考えていきましたが、ミュージックビデオにはもっと別の意味(成長、繋がり)も込められています。これも実はユングの心理学の考え方に基づいていたりするのですが。
今回はミュージックビデオにはあまり触れませんでしたので、別の記事にしたいと思います。

また、「Mikrokosmos(小宇宙)」や、最近であると「Telepathy」などもこの考え方が反映されていると思いますので、それについても別の記事で!

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