BTS LINEマンガ「7 FATES_CHAKHO」考察その1

chakho CHAKHO
公式twitterより

こんにちは!さこまよ(@Sacchan_OT7)です。
今回は、2022年1月15日からLINEマンガにて連載がスタートした、BTSメンバーをキャラクターとしてモチーフにした「7 Fates CHAKHO」について、現時点で分かっている範囲で私なりの考察をまとめたいと思います。
また、それを踏まえ、全体としてHYBE、BTSの伝えたいメッセージ、今後のCHAKHOの展開を予想していきます。

CHAKHOの設定

これまで、7 Fates:CHAKHOの公式youtubeやTwitter、インスタグラムなどでCHAKHOの設定が少しずつ明らかになってきています。
ここでは、現時点で分かっている設定についてまとめてみます。

「新市」という都市で活躍する「ボムハンター」

おおまかな設定としては「新市」という都市にて、ボムという怪物を捕らえるべく終結した7人のボムハンターのお話です。

また、事前のインタビューにて、テヒョンが「韓国の民話に登場する虎と熊」「朝鮮時代、虎を捕まえる捉虎甲士(チャコガプサ)をモチーフにしたアーバンファンタジー」であるとヒントをくれていました。

チャコガプサについて調べてみると、こんな解説が見つかりました。

国土の4分の3が山林である韓国には、古くから虎が数多く生息し、「虎の国」と呼ばれました。韓国民族の文明起源となる檀君神話は、熊と虎の物語から始まります。さらに、韓国は、「虎をあやつる君子の国」とも呼ばれ、毎年虎を祭る祭事が行われたと伝わるほど、虎とは深い縁で結ばれています。古代から朝鮮時代(1392~1897)に至るまで、「虎」に対する信仰と畏敬の念は、古墳美術の守護神として、仏教美術では山神の精霊として、絵画では君子と辟邪の象徴として表現されています。韓国美術での虎は、荒々しく咆哮するよりは、謹厳な表情やユーモラスな微笑を浮かべていることが多く見られます。その姿には、德と仁を重視する儒教的な価値観、そして楽天的で諧謔を楽しむ韓国人の情緒がそのまま反映されています。長い間、韓国人にとって、虎は神通力のもつ気迫溢れる霊物で、またユーモラスなイメージで親しみのある身近な存在でした。

出典:National Museum of Korea

どうやら虎は、韓国では古くから神聖な動物として親しみを持って扱われてきたようです。
なお、韓国では虎は「ボム」と言われ、ボム=虎と捉えて良さそうです。
ここで気になったのは、「韓国民族の文明起源となる檀君神話」という記述です。

檀君神話について、調べてみました。

檀君神話とは?

まず、 檀君神話についてはこちらのサイトがとても分かりやすく解説してくれています。
以下、抜粋です。

太古の昔、桓因(ファンイン)という天帝の庶子に桓雄(ファンウン)がいた。桓雄が常に天下の人間世界に深い関心をもっていたので、天符印三筒を与えて天降りさせ、人間世界を治めさせた。
部下3000人を率いた桓雄は、太伯山(テベクサン)上の神壇樹(シンダンス)下に下りて神市(シンシ)とした。かれは風伯、雨師、雲師をしたがえて穀・命・病・刑・善・悪をつかさどり、人間の360余事を治めさせた。
このとき一匹の熊と一匹の虎が洞窟で同居していて、人間に化生することを念願していた。桓雄は一把のヨモギと20個のニンニクを与えて、100日間日光を見ないように告げた。熊は日光を避けること37日目に熊女(ウンニョ)になったが、虎は物忌みができず人間になれなかった。
桓雄は人間に化身した熊女と結ばれ、檀君王倹(タングンワンゴム)を産んだ。檀君は中国の堯帝が即位して50年目の庚寅の年に、平壤を都として朝鮮と呼んだ。のちに都を白岳山の阿斯達(アサダル)に移して、1500年間も国を治めた。
周の武王が即位した己卯年に、箕子(キジャ)を朝鮮に封ずると、壇君は阿斯達からかくれて山神となった。寿命が1908歳であった。(姜在彦『朝鮮儒教の二千年』01朝日選書 p.28)

・北方アジア原住民たちの巫俗神話では、熊が人間であり、人間がまさに熊であるという観念が根づいている。このような観念は、日本のアイヌ族においてもみられる。
「熊との交婚はウラル諸族を除いても、ツングース諸族のほぼ全域と、朝鮮、ニヴフ、イテルメンアイヌと中国に見られ、分布が極めて広い」(大林太良「朝鮮の檀君神話とツングースの熊祖神話」『東アジアの王権神話』84弘文堂 p.369)。

つまり、朝鮮という民族・国家の起源は、神市を収めた桓雄と熊から人間になった熊女の間に生まれた檀君王倹であるということです。

この時、熊と一緒に修行にチャレンジして失敗したのが、虎さんだったということですね。

興味深いのは、ジョングクが演じる役(ジェハ)はボムと人間の子だということ。
上記の解説によると、熊は人間として捉えられているので、熊と桓雄の子である檀君と何かリンクするものがありそうです。
また、CHAKHOの舞台となるのは「新市」で、檀君神話の「神市」と同じ音であることから、こちらも何かリンクするものがありそうです。

さらに、テテはボムに恋をしてしまう人間ということで、ここにも種を超えた交わりを感じますね。
また、個人的に大好きな韓国大河ドラマ「朱蒙(チュモン)」でも描かれた朱蒙王は古朝鮮時代、「高句麗」の初代王であり、弓の名手でした。

ジンの役がアーチェリー選手であったこと、ジンもインタビューで「朱蒙」に言及していることから、朱蒙についても物語のカギになりそうです。

さらに、目を引くのはジミンの「岩」という役の設定。
どういうこと?!と戸惑う声も聞かれましたが、「長い間ボムの世界の扉を守ってきた」ということ、「ボムが人間界に襲来してきた」という設定から、ボムと人間界を隔てる扉を守ってきた岩戸の化身がジミンの演じる役(ハル)だと分かります。

ここで、「岩戸」と聞くと、日本人であれば多くの人が昔、日本の神話で天照大神が隠れてしまった「天岩戸」を思い出したかもしれません。

私も何となくそれを連想しました。
朝鮮と日本の神話には共通する民話や神話も多いと思うのでそういった背景もあるのかな、朝鮮にも岩戸という考え方があるのかな、なんて興味深く思いました。

CHAKHO1話と2話(小説含む)を読んで分かったこと

ここからはCHAKHO本編の1話と2話を読んだうえでの考察になります。
マンガと同時に公開されている小説を併せて読むと、より細かい設定が分かるのでオススメです。
以下、まだ読んでいない方はネタバレ注意です!

1話で分かったこと

一話では、主人公のジェハ(ジョングク)が謎の人物と出会い、ボムたちが侵入する入口となる仁王山に訪れた後に、大量殺人の現場で唯一の生き残りとなるところまでが描かれました。

ジェハが仁王山に向かった旧暦1月16日以降、新市では謎の襲撃事件が相次ぎ、遺体には獣に引っかかれ、嚙みちぎられたような跡があるとのこと。
その獣とは「ボム」であること、が明かされます。

ボムの侵入口となったのは「ボム岩」と呼ばれる岩で、その岩の化身がハル(ジミン)でした。
ジェハはハルと出会い、過去の記憶を取り戻します。

ジェハは幼いころボム岩の近くに暮らしていました。
ボムは1年に1度、封印が解かれることにより、ボム岩から人間界に侵入し、人間を喰らっていました。

ジェハは両親を亡くしていますが、どうやら両親はボムに殺されたのだということが分かりました。

2話で分かったこと

2話では、街で出会った謎の男が、ジェハが昔家族ぐるみで付き合いのあった男であったことが分かります。

この男曰く、ジェハの父親はボム族で、母親が熊族(すなわち人間)であったとのこと。
ジェハの母親がボムと人間界の入り口の門番であり、門番が「大門遊びの歌」を歌うことで、年に1回、ボム界と人間界の扉を開放することができたといいます。
門番だった母親は、ジェハの父親と恋に落ちたことにより、「大門遊びの歌」の力でボムであったジェハの父親を人間界にとどめさせました。

その記憶がよみがえったジェハは、「大門遊びの歌」を無意識のうちに口ずさみ、ボム界の扉を開けてしまうのです。

そして正体を現した謎の男はボムに変化します。

その際、男は「4千年前、俺をあそこに閉じ込めた奴も、お前のような雑種だった」と言っていました。

また、ジェハには「門番だった母親の血が流れている」「門を閉じる力もある」として、門が再び閉じられないよう、ジェハを殺そうとしました。

記憶を取り戻したジェハをなぐさめるため、ハルはジェハに寄り添います。
それまで親も身寄りもなく心を閉ざしていたジェハはハルのぬくもりで感情を溢れさせました。
そして、今後の展開としては、ハルとジェハはタッグを組み、人間界に放たれてしまったボムを狩りに挑んでいくという流れが読めました。

また、小説の方では、とても興味深い描写もありました。

なんと、街の一大企業である「YISALグループ」の総帥であり、街の名を「新市」と名付けた人物が「桓雄」であったというのです。

なお、「新市」の新市街地は華やかに発展していたものの、旧市街地は荒廃が進み、犯罪率が上がっていたということで、ジェハは良い感情をいただいていないような描写がありました。

新市の創設者が桓雄であったというのは、朝鮮の檀君神話に出てくる桓雄の収めた都市が「神市」であったこととリンクします。

さらに、漫画での謎の男の「4千年前に俺を閉じ込めた奴も雑種だった」と言っています。
桓雄と熊女の子である檀君は、紀元前2333年前に生まれたとされているので、ちょうど今が起源2000年代であることから、「4千年前」の「雑種」はこの檀君であったのではないかと推察されます。

なお、ここから私が考えたのは、ジェハはボムと人間の子です。
そして、門を閉じる力も持っているということですね。

4千年前に門を閉じボムを封印したのが檀君王倹なら、ジェハは現代の檀君としての役割を追っているのではないかということです。

一方、分からないのは、現代の桓雄(YISALグループ総帥)の立ち位置です。
檀君神話では、檀君王倹の父親で、天界から人間界に派遣された神ですが、2話までの描写を見る限り、少し怪しげです。
新市では発展の裏で犯罪がはびこり、決して良い統治をおこなっているようには見えません。

普通に考えると、この桓雄が実はジェハの父親だった!となると歴史が繰り返している感じがして、物語が繋がるのですが、、、
また、その他特筆事項として、桓雄はボムを捕獲した者に懸賞金を与えるという施策を打ち出していました。
果たして敵なのか、味方なのか。

今後の展開に要注目です。

今後の展開予想

善悪二元論からの脱却

まだ2話までしか無料公開されていませんが、ここまで読んで考えられる今後の展開を予想してみようと思います。

ボム(虎)についてですが、私は完全な悪として描かれていくのではないと思います。
ジェハの父親ですし、人間とボムが恋に落ちることもあるということから、ボムは善悪二元論で語られず、善と悪を両立させうる存在の象徴であるのではないかと思います。

これまで、BTSのコンテンツBU(BTS UNIVERSE)=花様年華などでも、善と悪の融合、自分の中の悪の部分を受容することで、人は成長するという描写が見られました。

徹底解説!BTS「花様年華」のストーリー
BTSの花様年華のストーリーをミュージックビデオを見ながら解説します。花様年華は子供から大人への成長の過程で経験する葛藤を乗り越え、自分を愛することを学び、成長していく様を表したストーリーです。また、BTS7人のアーティストとしての成長についても関連があります。

特に、BUコンテンツであるWINGSショートフィルムでは、善と悪を同時に両立させる、世界の創造神である「アブラクサス」が登場します。

WINGSショートフィルムは、ヘルマンヘッセの小説「デミアン」をもとに描かれますが、「デミアン」の中では、主人公「ジンクレール」が悪と出会い、葛藤する様が描かれます。
少年は悪と出会い、大人への道を歩む。
Boy meets evilというフィルムもBTSから出ていますので、要チェックです。

少年は悪と出会い、悪を受容することで成長していく。
このBoy meets evilのリリース後、「血、汗、涙」がリリースされ、このMVの中では、まさにジンが悪魔と契約する様子が描かれていますね。(詳細は先ほど挙げた私の花様年華の記事で!)

こうしたBUのストーリーラインをもとに考えると、今回のCHAKHOも、善と悪の融合、をテーマにしているのではないかと思えます。

完全な悪ではないボムの世界と人間の世界を融合し、最終的に種族を超え、共存する世界を7人が作っていく、そんなストーリーになるのではないかと推察します。

HYBEの目指す世界観「境界を超える」

現実世界では、人種差別や、民族紛争などが後を絶たない状況です。
HYBEの投資家向けの今後の方向性を語る説明動画が記憶に新しいですが、そこでパン・シヒョク会長は、HYBEのコンセプトは「境界を超える」ことであると繰り返し主張していました。

種族や民族、人種、様々な「境界」をなくし、あらゆる対立を超え、世界平和を願う、そんな思想が背景にあるのではないかと思うのです。

BTS自身も、欧米に進出するにあたり、人種差別の的になることが多々あります。
彼らはまさに、世界に進出するアジア発のアーティストとして、道を切り開く存在です。
人種の壁を越え、世界で愛される存在を目指している彼らだからこそ、「人種を超えて」世界平和を目指していこうとする思想を掲げていることに違和感はありません。

彼らがCHAKHOで伝えたいメッセージとして、まさに「種を超えた融合」があるのかな、と思います。

花様年華(BU)との関係

皆さんがとても気になっている、そして私もとても気になっている、「花様年華はどうなったの!?」という疑問。
花様年華はまだ完結していないと私は思っていたのですが、その前にこの「CHAKHO」が来てしまいました。

自ずと、花様年華と、このCHAKHOに何か関係があるのかという疑問が浮かびますね。

正直言って、関係があるのかどうかは分かりません。
しかし、何らかの匂わせが多いことから、根底にある思想は同じなのではないかと踏んでいます。

オッドアイの猫=シュレディンガーの猫

その「匂わせ」とは、この「猫」です。
CHAKHOのティーザーで一瞬映った猫。
ナムジュン(ドゴン)が異世界へワープする際に現れました。

また、花様年華でも、オッドアイの猫が登場し、ジンにタイムリープする力を与えました。

このオッドアイの猫は、BTSの後輩であるTXTのストーリーライン(TXT UNIVERSE)でも登場します。
パラレルワールドにワープしてしまう主人公の前に現れました。(以下動画10:39時点)

CHAKHOも、ティーザーでメンバーが異世界にワープする様が描かれ、「数ある運命の分かれ道で、何を選ぶか」というキーメッセージが発信されています。

CHAKHOがパラレルワールド(異世界)へのワープ、数ある運命(パラレルワールド)で、自分は何を選ぶか、というテーマが根底にあるのだとしたら、 これまでHYBEが花様年華で伝えてきたメッセージと根底で通じるものがあります。

花様年華でも、ちょっとした人生の選択を変えるだけで先の運命が変わる、という「バタフライエフェクト」を念頭に置いた設定があります。

また、こうした設定のカギとなるのが、2021年秋に配信された「BTS in the SOOP」でメンバー複数人が読んでいた小説「ミッドナイトライブラリー」だと思いました。

ミッドナイトライブラリーとシュレディンガーの猫

ミッドナイトライブラリーは、人生に絶望した主人公が、自殺を図りますが、完全に死ぬ前に、主人公の「後悔」を振り返り「あの時別の選択をしていたら」という視点で、別の人生を生きてみるストーリーです。

数ある別の人生を生きる中で、人生を生きるうえで本当に大事なものに気が付いていく、というお話です。

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なんと邦訳版も出ていました!↑

ミッドナイトライブラリーで、パラレルワールドの存在する原理が解説されていましたが、これがまさに「量子力学」をベースにしていて、あくまでも科学的に、パラレルワールドが存在しうる理由が語られています。

量子力学の象徴的存在としてシュレディンガーという科学者が提唱した「猫が死んでいるか、生きているか」という仮説についても触れられています。

俗に言う「シュレディンガーの猫」ですね。
ここで解説すると長くなってしまうので、ぜひググってみてください。

ここで気が付くのは、花様年華でも、TXT Universeでも、CHAKHOでも共通して登場する「猫」が、異世界へ通じる鍵として象徴的に描かれているのだなということです。

ミッドナイトライブラリーを読むと、そうした世界を念頭に置いて、改めて人生の在り方を考えさせる内容になっており、同様に花様年華でも、CHAKHOでも、独自のストーリーを通じて「よりよく生きるヒント」をメッセージとして伝えているのではないかと思います。

おわりに

CHAKHOはまだまだこれからストーリーが展開されていくので、あくまでも現時点での考察になりますが、ここまでで考え得る今後の展開、背後に隠されたメッセージ、花様年華との関係性について予想しました。

今後、話が進むにつれ、考察もアップデートして行ければと思います。

別途記事を更新していきますね。

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